2017年1月の詩

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渇望

ある時には 至極やさしい ひとことが 欲しい たったひとこと 寒さに耐え 恐怖に耐えられる ひとことが 私を暖め 息苦しさから開放する 重さのないひとこと 平和のひとつぶだけ 背負おう 瞬く間に 飛び去ってしまわないように

原作
ピーター シュウトPeter Schütt、ドイツ(1939)
原題
Hunger
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ルビーを見つけた 折り重なった石の中で 珍しく光り輝いていた 単なる小石ですよ と、専門家は言う 単なる小石でも 何か特別なものになりたい 原子の唯一の塊 産業の堆積物 何万もの波の数が仕上げた「磨かれた技」   選ばれたと     見て、感じて   何か特別なものになりたい


未来

未来に何が 待ち受けているのか

さらなる戦争 毒ある野望を持つ国々の さりげない会話 哀れな政治家たちよ どこからどこへ向かうというのか 答えはない 一瞬で 高く登ったキノコ雲は 全てを燃え尽くす

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Zukunft
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

微光

ひとみの中の きらめく月光

優しくなでる風 ある時はひとこと

手でつつみこむ 抱擁のような

やさしい光 私の心にたいせつなもの

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
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