今週の詩

The Poem of the Week — 毎週、世界の詩の一つを日本語に

詩人ジャーメイン・ドルーゲンブロートがスペインの雑誌社に毎週寄稿している1編の詩を対訳付で無料でお届けしております。 現在 「今週の詩」 は英語、スペイン語、オランダ語、中国語、ルーマニア語、マケドニア語、イタリア語、ギリシャ語、日本語に訳されています。

詩がお好きなご友人をご紹介下さい。

The poet Germain Droogenbroodt chooses one poem weekly for a Dutch magazine in Spain. This selected “Poem of the Week” is translated in English, Spanish, Dutch, Chinese, Romanian, Macedonian, Italian and Greek, and now Japanese.

Please inform your friends who love poems.

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サーディニア
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

言葉を失う

海辺で 言葉を失う 歌を歌うため 言葉を失う

内陸に戻り 真実を見失う 言葉を失う そして歌人は歌う

原作
ヨセ・アンジェル・バレンテJosé Ángel Valente、スペイン(1929–2000)
原題
Perdimos las Palabras
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

穏やかな眺望

窓の向こう側の オレンジ樹々の庭

蕾の香りに うっとりと酔う

誰もいない 車もない 雲ひとつない天国

黒ツグミだけが 完璧な静けさを 賛嘆している

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Vredig panorama
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

希望の日の出

夜明けの光が 夜の痕跡を消す 容赦なく、時は流れるが 止まってほしいと願う カメラレンズに固定される写真の様に 樹々の実のように価値があるのは愛だから

夜に昇る月のように 愛おしい、君がいて、何が起ころうとも どこにいようとも、心に君を留め 君と恋に落ちてから、この世界は変わり 二つの心が温かく優しい家を見つけたから 希望の明かりを灯したり、影らしたり 日光が愛の心の琴線をもて遊ぶ

原作
アナ・ケイコAnna Keiko、中国
原題
Sunrise of Hope
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

エリザベート・ジェシウスElisabeth Gecius
ベルリン

如何にして

どう伝えよう?耐え難く近すぎて、 心に押し入ってくる 君は無言の口が担う名前 地球の手の中の海 触れてみる、触れている私の手を羨ましく思う 触れていて、触れたいと焦がれている

この無感情の時の恐れは一過性でなく 君は私の中の一部、一部は私の中のここにある その一部が魂の炎を燃やし 心の火を消すことがない

原作
アミール・オールAmir Or、イスラエル(1956)
原題
How
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

天国で

幼い頃から、空を訪れてみたかった 詩によって 飛行機によって 夢によって 辿りついた

死んだ時には青い世界へ移り住む 創造主と 永遠の邸宅をすでに手配している

到着が待ちきれない 人類全ての人々を知り、私の欲求をも知る神は 私の人間性をつねるような 虫けらであふれたこの地球上で 永遠には踊らせない

原作
ブランカ・カステリョンBlanca Castellón、ニカラグア
原題
En el Cielo
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

売る

春には 失われた庭からバイオレットを 売る 夏には 折り紙の薔薇を 秋には 紫苑の花言葉を 冬には 窓に咲いた 亡き母の霜の花を だから私は生きる 朝から 晩まで 夜には 月や星を 私は褒める 太陽が昇って 私をその日に 売るまで

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Verkaufen
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

フィンセント・ファン・ゴッホVincent van Gogh

収穫

光に押されたら 別のドアを通ろう 薔薇の花びらに 朝に露が煌めく 海の泡

静かな夜に最初の音節のように 話そう 影についてや青い天使について

私の人生 光り輝き、ある瞬間に 白頭蓋骨 黄昏 池の小魚

黄金時代収穫の 水の中、芳香の中 甘いワインの中に泳ぐ

原作
マリア・サメイロ・バロッソMaria do Sameiro Baroso、ポルトガル
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

“Continuum”
ヨーゼフ・ボイスJoseph Beuys

レッスン

自身に課題を科す 言葉が足りなすぎる 綺麗に拭き取られた 黒板の 消されて出てきた チョークの粉と同じ

何かまだ残っている 喉の奥の骨の様に 引っかかっている

学校の黒板には 年配の校長が 難解な文章を書いている ”我が人生”

より時間が短く 授業終了の鐘が鳴るまで より減っていく単語 指の中で すり減るチョーク

原作
ミロスワフ・グルジェンMirosław Grudzień、ポローランド
原題
Lekcja
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アレクサンダー・バトシェフAlexander Baytoshev

ハープ

君の体はハープだ サウンドボードに沿った弦 共鳴機 指で弾く ネック フラット シャープ 三角形の形 狩猟弓 トルバドゥール トルヴェール ミンネザング モンテヴェルディ グルック ベルリオーズ 特徴的なグリッサンド 共鳴を止めるのに 軽く片手を もしくは両手を 弦に置く

原作
アイヴァン・フリストフIvan Hristov、ブルガリア(1978)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ハインリッヒ・フォン・レインズHeinrich von Zügel
1850–1941

IX

私は群れの牧人 群れは私の思想で、 私の思想はすべての感覚を司る 目で耳で 手と足で 鼻で口で考える

花を思うことは見て香ること 身を食べることは味を感じること

だから、楽しみが過ぎて悲しい 暑い日には 芝生の上で伸びをして 太陽が私の瞼を温めるのを感じ 全身が現実に沈むことを感じ 真の幸せを知る


大嘘

大嘘の 足は 短くない。 あまりに 腕が長いから 足が短く 見えるだけだ。

大嘘の腕は 真実より向こう 彼方へ伸びて 足をより短くし 骸骨を生む

原作
エリック・フリードErich Fried、オースロリア(1921–1988)
原題
Die Grossen Lügen
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

読者の皆さまへ、
幸せで穏やかな一年でありますように。
ジャーメイン&菜巳乃より
エルク・レダーElke Rehder

言葉

どれほど誤っていても、古臭くても  幾つかの言葉は 存在し続け、 不可視の道筋が 心に刻まれ 時間さえも 消すことができない

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Words
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

エルク・レダーElke Rehder

クリスマス

空が空洞だから 何千もの電気星と 誘惑する行商人で 地球が満たされた

司教は伝道をする 天使の歌の代わりにCDを流し 東方の三賢人の代わりに 王族のギフトを贈る

しかし子供は生まれ 救世主メシアは存在しないが その人は 天国が空洞でないと望む

原作
ゲオルク・シュヴィーカートGeorg Schwikart、ドイツ(1964)
原題
Weihnachten
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

月の詩

とても疲れていて、変だ 暗い部屋の君の顔みたいな、 月が夜空に掛かる 月は輝く、白く、硬く、磨かれて まるで一片の金属のよう 早めの青い午後に 時々同様に青ざめ弱い 単色で 子供が塗ったような しかし優しさに溢れている

原作
ギュンター・クーネルトGünter Kunert、ドイツ(1933)
原題
Das Gedicht vom Mond
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

聖歌1

神の祝福を受けたその人は 政治政党のスローガンに従わない 会にも参加しないし ギャングと同席しないし まして大将の作戦会議に同席しない。 その人は兄弟をスパイしないし 友を裏切らない。 その人は宣伝の広告を読まない ましてテレビは見ない その人は泉近くに植えられた 木のようだ。

原作
アーネスト・カドニアルErnesto Cardenal、ニカラグア(1925)
原題
Salmo 1
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グラサ・マルケスGraça Marques

新しい日

冷たい日の淵に 顔をうずめる 息は何も温めない 幸せの島の淵 足元のすぐ下 流れる一粒の涙が 時間を肥やす

原作
マウゴジャータ・ズレカMałgorzata Żurecka、ポーランド
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グラサ・マルケスGraça Marques

壊れた

すべての鏡 裏側さえも形を留めない 継がれない名前 消えていく足跡 あなたの 私は 私の あなたは 目に見えない小道 私たちを救う

原作
ラファエル・カルセレンRafael Carcelén、スペイン(1961)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ドリッド・ワイズマンדורית ויסמן
イスラエル
1950

私の人形

子供の時、近所のアリヤ地区で 手も目も失った 人形を持っていた

誰のものか確かでなく その人形が私のものだったのか 詩から来ているのか

ママが死んで 誰にも尋ねられない

原作
ドリッド・ワイズマンדורית ויסמן、イスラエル(1950)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アメデオ・モディリアーニAmadeo Modigliani
1884–1920

愛するなら、私の全てを

愛するなら、私の全てを 光や影の一部でなく 愛するなら、黒も白も  灰色も緑も 金も茶色も 愛して 毎日愛して 毎夜愛して 朝には大きく開いた窓のそばで

愛するなら、そのままの私を愛して。 全てを愛するか…全く愛さないか。

原作
ドゥルセ・マリーア・ロイナスDulce María Loynaz、キューバ(1902–1997)
原題
Si me quieres, quiéreme entera
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

残るのは遺産としての名前だけ

これは海岸から海岸への 昨日から一寸前の 足跡を残さない 旅だ。

水しぶきと砕ける波に委ねるか、 丸い石に刻まれるか? 飛んでいる鳥に委ねるか、 松の木に刻まれるか?

残るのは、 存在しないところに記録された 旅人の名。

原作
マハヤ・モハマド・ヤシンMahaya Mohd. Yassin、マレーシア
原題
Yang Ada hanya Sebuah Nama sebagai Pusaka
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

月夜に離れた君を想う

海上に明月が生まれ、 天空を輝かせる。 恋人は離れた夜を嫌うが、 夕が相思相愛を呼び戻した。

蝋燭を吹き消し、 月の光を楽しむ。 露が濃くなり、 上着を羽織った。

手に溢れる月の光を 君に贈れないから、 夢で君に会いたいから、 眠りに帰ろう。

原作
ちょう九齢きゅうれい九龄、中国(673–740、唐時代)
原題
望月怀远
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グスタフ・クリムトGustave Klimt

森に捧げる

感謝します森よ、私に眼を返してくれること あなたの芝生に横たわり、 眼をとじるときにも。

私に手がある理由をくれること 足が土につまづいて あなたの根を掴むため。

漆黒の樹皮の空の向こうに 小さな月のようにあわられる 忘れていた私の魂を 見詰めている 目しか見えないものからの、 知らない音からの、 夜に歩く怖さを 克服することを教えてくれた。

原作
ピエトロ・ベラPietro Berra、イタリアのコモ
原題
Ode al bosco
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

イタリアのコモ湖ポグナナ、2018年5月7日
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

天像

穹窿きゅうりゅうの蒼い空に雲を描く 白上に白 流れゆく像

何かの兆候か、 もしくは 唯の目の保養

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Hemelbeeld
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

歌ってください真実の愛の歌を

石は長く留まる 静けさと沈黙で横たわり 道の端を 見ることもない

無音 無の場 無言 望まれず 石は残る 語り手もなくその物語は続く

愛もなく 真実もなく ある国から誰かが書いた

もし応えがたったひとつしかなければ お願いです 歌ってください、国のためではなく 愛の歌を

原作
ハット・フィッシャーHatto Fischer、ドイツ(1945–2017)
原題
Singe mir das Lied von der wahren Liebe
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

待っている

干ばつのように、雨を          餓えた人のように、一片の食物を   溺れた人のように、救助を      死にゆく人のように、生れ変わりを⋯ 私は君を待つ

原作
H. S. シバプラカシュH. S. Shivaprakash、インド
原題
Waiting
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

海上の雲

海上には雲 海辺には銀製の船   海中には黄色の魚   海底には青藻     

海岸近くに 考え 静止している 裸の男

雲になるか それとも船? 魚になるか それとも海藻?

否、少年よ: 雲と、船と、魚と海藻をもつ 海となれ

原作
ナーズム・ヒクメットNâzım Hikmet、トルコ(1902–1963)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

彫刻
マリーポール・デビル・シャルボルMarie Paule Deville Chabrolle

光を与える人

あなたが私を見るとき 私の眼は鍵になる 壁は秘密をもち 恐れは言葉に、詩になる。  あなただけが私の記憶を作る 心奪う旅行者、 絶えない炎

原作
アレハンドラ・ピサルニクAlejandra Pizarnik、アルゼンチン(1936–1972)
原題
Quien alumbra
出典
La voz del otro lado – De stem aan de andere kant / Poesía moderna de Argentina』、Point Edition2010
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:デザイン・パオラ・リオスDiseño Paola Ríos

一掃まで炎の翼で

欲しいのはどこでも歌えること 欲しいのは羽のゆりかご 欲しいのは足の間に天国のかけら 欲しいのは口の中に蜂の群 欲しいのは体に地球とジャスミンの香り 欲しいのは足先からたち昇る燻製の舌 欲しいのは広げた羽の付いた肘 欲しいのはひばりの羽と肘を取替えること 夜明けに

原作
カルロ・カストロKaro Castro、チリ(1982)
原題
Con alas de fuego hasta el exterminio
出典
La mujer gallina』、Ediciones Balmaceda2016
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

ひと飛び、すべての方向が変わった 雨の(生きている!)鉄の道は 私たちを夜明けに導き あなたの夢を見た 地球全体は不眠に陥り 数世代の木がたわみ 空では雲が混み合い 夜に野生のインスピレーションが包み、私たちは恋に落ちた

原作
アレクサンドル・コロトコOlexandre Korotko、ウクライナ(1952)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

スペインのロンダにある八本蛇口の手水舎

八本蛇口の手水舎

黄土壁に はめ込まれている八口 奇跡の様に 水が溢れている。 巡礼者は —敬虔に頭を下げ— 手を伸ばし 祈る。 「純粋で透明な水 乾き以上に 私を潤す」

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Fuente de los Ocho caños
出典
The Ephemeral Flower of TimeDe efemere bloem van de tijd』、POINT Editions2017
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのグータの空爆

果ては一からまた始められる

母を埋葬し 破裂弾のシャワーの下を墓地から走り戻った後 縒れた布の中の兄弟を兵士が連れて戻し 彼のライフルを兵士へ返した後 我が子の目の中に炎を見て ぞっとするネズミらと穴蔵へ飛び込んだ後 恐怖で誰かわからない老婆の顔を ぼろ切れで拭った後 街角で餓えた犬がどのように 自分の傷の血を舐めるかを見た後 これらすべての後に 余りに空っぽで面白くなくを忘れさせてくれる 記者のように詩を書きたい その瞬間道で誰かが尋ねる、 なぜ冷淡な記者のように詩を書く?

原作
ゴラン・シミックGoran Simic、ボスニアのサラエヴォ
原題
It can start all over after all
出典
World Poetry, Almanac 2010』、Hadaa Sendoo
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

愛情の姿、想の中、空からの雪の舞い時。 懐疑的な柔らかな目、自身を反射し 木々の間をはらはらと 舞い降りる —ほら、天国の崩壊!— そして男たちは木々になり 雪の抱擁を受け包み込まれる

原作
エリサベタ ヨシフElisabeta Iosif、ルーマニア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

昨夜は私の上で眠りに落ちた! そして今日は寝返りを打ち 眠りについたふり。 復活の日まで共に。 あの言葉をまた聞きたい 眠っている君が私に言った昨夜の言葉!

原作
ジャラール・ウッディーン・ルーミجلال‌الدین محمد رومی(1207–1273)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジョージ イポリット ディリGeorges Hippolyte Dilly
1876–1942

海辺の瓶

瓶の中のメッセージ 未知へのポエム

未来の国へ 漂流するんだろう

海流の迷宮に 彷徨うかもしれない

海藻の森を横切り 深い納骨洞 何千もの港の幻 無数の星の下で 沈んだストーリーの数々 これを読む人はこの旅をするんだろう

原作
ジャクリーン・サンジャンJacqueline Saint-Jean、フランス
原題
Bouteille à la mer
出典
Dans le souffle du rivage』、Tertium éditions
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アルゴト・スカウトArgot Scout

アンジェラ・フィゲラ・エイメリクへ

私たちは太陽の渦について何も知らない 最長の時間も、 雲々、上空の乱気流についても 香るこの地で 甘い樫と栗の木の漂う君の血の ことばの水晶だけが光っている。 君の瞳の中、 ツバメが巣を作るところへ 春の渡り 静かに決意する時 君の家で、紫の影の呼吸をする 無邪気なひかり そして君は書く、夜に、君の歌を 晒された角のよう

原作
アンジェラ・フィゲラ・エイメリクÁngela Figuera Aymerich、ポルトガル
原題
Para Ángela Figuera Aymerich*
※ アンジェラ・フィゲラ・エイメリク、スペインの詩人、1902–1984
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ホアン・カルロス・メストレJuan Carlos Mestre

トラと薔薇と

眠っている時に 青い月の下、 トラと薔薇が愛を交わすのが聞こえ ツグミのさえずりが聞こえ、 飛ぶ鳥の香りを感じる。 そしてトラが薔薇に 言うのが聞こえる 「あなたを七晩夢に見ないといけない 優しさと幻想の魔法が 消えないように、 触れてはいけない 私の夢が夜明けまで続くのかを 知る唯一の方法だから」

原作
フランシスコ・デ・アシスフェルナンデスFrancisco de Asís Fernández、ニカラグア(1945)
原題
El Tigre y la Rosa
出典
El tigre y la rosa』、Editorial Hispamer2017ニカラグア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

フェルナンド・アギアルFernando Aguiar

文字よもう一度

今夜は どう書くべきかわからない これは心の新境地か?

今夜は 私がうんざりしているから 文字たちは頭痛持ち

今夜は 心に一つも考えが浮かばない 真っ白な紙 私は、待って、待って 思考の空から 文字が降りてきた そして私の魂の 亀裂を充した・・・

原作
アルリンド・ファリジArlind Farizi、マケドニア(1984)
原題
The Word Again
出典
Poem between two summers』、Struga Poetry Evenings
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのエフリン(2018)

赦免

高い樹の上に ある鳥は巣を作った その樹は神に どうか私の方向に嵐を呼ばないでくださいと 神に祈った

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
クルディスタンのエフリン(1970)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのエフリン(2018)

二本樹の愛

その二本の樹々はひどく愛し合っていた 妬みにもえた木こりが 二本の樹々を切り倒し 家へ持ち帰った 偶然に炉の中で再会でき 幸福に抱き合い 共に燃やされた

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
クルディスタンのエフリン(1970)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ニカラグア・グラナダ国際詩際への三度目の招待を受け、バレンタインデーにニカラグアでも最も重要な現在詩人であろうクラリベル・アレグリアの愛の詩を選びました。私は彼女の詩をこよなく愛していて、彼女も私の詩に対して同様であったことに感謝しています。ニカラグアで今月会うはずだったのが、スペインの新聞により彼女の訃報を知りました。この二つの愛の詩は偉大な女性、詩人で詩の友人であった彼女へ送ります。
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

愛にまつわるすべてになりたい

恋人 愛される人 めまい そよ風 水の反射 そして今のところ私たちを覆っている 蒸気のような 漠然とした あの白い雲に

原作
クラリベル・アレグリアClaribel Alegría、ニカラグア(1924–2018)
原題
Quiero ser todo en el amor…
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

境界線

私は雲でした そして雨 そして海 そして月になりたかった そして壁 そしてあなた。

原作
クラリベル・アレグリアClaribel Alegría、ニカラグア(1924–2018)
原題
Fronteras
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

京都、2017
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

樹が風に舞い上がる

ジャーメイン氏へ贈る

樹は風なしでは無だ 風が動きに印象を与えないとしたら 存在も確かではない その樹は 樹液で自身を支え 火が燃やし、 風が嵐の夜に破壊を駆り立てる木材で その幹、その根、その呼吸よりも イメージ、詩、写真、文書と 同じ瞬間にだけ存在する。

風に、 編み出す人の視線に、 樹はしなる。

その樹は風の中で、もしくは思想で動くとき 生まれ出る、

詩が私たちを感動させる時の様

原作
ジョゼ・エドゥアルド・デグレージアJosé Eduardo Degrazia、ブラジル
原題
A Árvore Se Faz No Vento
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

問い

地球よ、あなたはまだ 原始光の火花以上、

宇宙にさ迷う 殺がれた岩石以上の存在なのか?

黄金の子牛が 天使の翼をもがいた

そして—預言者の様に見せかけ— 支配者は真実の様に嘘を広げる

馴染みある羽ばたきが 微かに聞こえる 心の二重の鼓動

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Question
出典
Counterlight』、POINT Editions
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

白雪

雪が降るように 静かに来た そして朝に心は 真っ白になっていて なんと言ったらいいか

一番小さいスミレのように 私を覆った そしてアオガラの歌声に 地球の白い息の 開きを感じた

林檎の木のように 君の抱擁に揺れる

今夜の月はなんと穏やかな

原作
レナート・フィオリトRenato Fiorito、イタリア
原題
La Neve
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

水彩画
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

陰影

君の影は 修道院の壁に沿って 角のあたり渋々歩く 石から石へ 影跡からはずれようと 通りすぎる間 強く張り詰めている わたしの影のことを 締めつけている様

原作
クリステル・アンガーChristel Ungar、ルーマニア(1966)
原題
Beschattet
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

水彩画
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

聞いている

あなたが言うことより いつも多くを 聞いている

まるであなたは 千の舌を持ち話したいみたい それでも多くを 抑えている様だから

原作
クリステル・アンガーChristel Ungar、ルーマニア(1966)
原題
Zuhören
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ダルフールの子供難民の絵・ヒューマンライトウォッチユニセフWaging Peaceスーダン

平和ゲーム

運動場の子供が 戦争ごっこ 甲高い大声で 戦争の真似事

窓から 彼らに声をかける 今回は平和ごっこをしなさい! 彼らの騒ぎが 少しは収まることを願って

運動場から子供たちが 熱狂的な様子で 「平和を祈ろう!」 それぞれが 大声で叫ぶ

そしてもう一度 考え議論して どうするべきかを 思慮している それから

小さい子供が 私の窓を覗いて 「叔父さん、平和を祈るってどうするの?」

原作
ピーター シュウトPeter Schütt、ドイツ(1939)
原題
Friedensspiele
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

ヒマラヤの穏やかな朝

前夜に 喉の渇きを癒したように 現れる

朝の光と聞きなれない 鳥のさえずりで 一日が始まる

遠くの 蘆笛の 揺れる音

シバ神か、仏か その様な神を参る 朝の祈祷者

そしてこの朝穏やかさが訪れる まるで長い時間を経て 人類がついに 平和に辿り着いたかのように

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Peaceful morning in the Himalayas
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ホアキン・ソローリャJoaquín Sorolla

海とカモメの夜に あなたが私の元に戻ったら あなたの目尻に キスしてみよう あなたの嘆き、 失われた浜の 虚空と唇の疑わしさは 私の口を乾ききらす

原作
テレサ・パスカルTeresa Pasqual、スペイン
出典
Les Hores
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

接吻
オーギュスト・ロダンAuguste Rodin
1840–1917

九だったか

二人には七夜だけだったかも わからない 数えていなかったから 或いは少なくとも六と言おうか ひょっとすると九 わからない でもそれらは私の宝物 一番長い愛だった 多分 四夜か五夜ほどだったか 正確にはそれくらいか 多分 それだけで生きられた 人生で思い切り 大きな愛

原作
イデア・ヴィラリーニョIdea Vilariño、ウルグアイ(1920–2009)
原題
O Fueron Nueve
出典
Idea Vilariño, Poesía Completa』、Cal y Canto
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

静寂の静止

音もたてずに 雪の一ひらのように クリスマスが来た 夜が交わるところで 静寂の静止と合流した 旅に疲れても 腹を空かせた子供に母乳を与えた その神聖な夕べは 人々の客だった 奇跡を携えるクリスマスは 長く留まらなかった、 希望と歌が 詰まった袋をとじて、去った 皮肉だけ 持ちされなかった 飾りの一つとして クリスマスツリーの枝に掛けられた

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アイツアン ヘレンAitziane Helene

転生

もし生まれ変わるなら、ここへ戻して もしも生まれ変わるなら、ここへ戻して. . . 同じ門をくぐり戻るのでしょうか 同じ雫を 同じ虹を 同じ町に流れ着く 同じ荒れた小川を見れるのでしょうか?

同じ花は咲くのでしょうか 同じ蜂が蜜を吸い、 私の望みを知り 蜂蜜を作るのでしょうか 私の心はまた山を登り 興奮を廻らせ 喜びを基礎にした 同じ苦しみで 家を立てるのでしょうか?

原作
アフティム・カレトニコフAftim Kletnikov、マケドニア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

眼は精神の入り口である。 だから今、知恵を働かせるため、閉じた方がいい 日々を冷淡に進める⋯

そして心のドア⋯耳; 知恵を働かせるため、耳も閉じよう 亡き人のため、老人のために祈ろう

彼らは愛されるべきである 少しの愛、生命の保証、 法やお触れは必要ない

白痴で心なしに生きるより 最小限の生命のかけらでいたい

原作
パトリツィア・ヴァルドゥーガPatrizia Valduga、イタリア(1953)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

友人、また読者の皆様、
五週間の間オフィスを離れ、ベルギー、オランダでの朗読会、ローマの記念碑カンピドーリオで名誉ある「プレミオ・スペジアーレ・ドン・ルイジ・ディ・リエグロ」賞をいただきました。雑誌では発行されていたお届けできていない詩を順にご送付していきます。
詩的な挨拶とともに
ジャーメイン
アニカ・ヴォルケンズAnnika Volkens

訪ねた私を迎える 大きく手を広げた母 来れないという電話に応えた時の 優しい言葉の母 話をしたくても、もうできなかった 顔を横に向けた母 最後の挨拶に遅すぎて着いた時の 目を閉じた母

原作
フリーデリーケ マイレッカーFriederike Mayröcker、オーストリア(1924)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

友人、また読者の皆様、
ポイントエディションは10月29日から11月12日、アントワープにおいて国際詩のコレクションを展示いたします。12月1日の”美しい詩”ドン・ルイージ・ディ・リエグロ国際詩賞受賞のためにベルギーからイタリアへ渡ります。次回の「今週の詩」は11月末にお届け予定です。
詩的な挨拶とともに
ジャーメイン

想い

彼の瞳と彼女の泪の間は いつもそのスーツケースと 数え切れない旅行による遠距離がある

洞察に至るまで 詩の火に至るまで 異国において

原作
フアッド・リフカفؤاد رفقة、レバノン(1930–2011)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

もつれ

このもつれた世界の 秩序は保たれていると 自らを欺き 信じ込ませる

飢えた子供が 泣いているのが 聞こえる

死んでいく兵士が 見える

地球の心が 縮こまっているのを 感じる

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Wirwar
出典
Mein Atem heißt jetzt』、Fischer Verlag
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

友人、また読者の皆様、
9月17日から20日までミカエルエミネスク国際詩祭に参加し、(国際詩の貢献者として2度目の受賞をいたしました。)十数名もの昔からの、また新しい詩人に出会うことができ、ギリシャ語、トルコ語、ウクライナ語、ヘブライ語が新たに追加され「今週の詩」は17言語に翻訳、公開される予定です。
ジャーメイン
Edvard Much

間違えた

彼らは必要のないものを売る それでも君は買う 彼らは好きでない耳障りな歌を歌う それでも君は聴く

花々のささやきは いつ聞くのか?

外見のきらびやかさを押付け 同様になるため 彼らから奪い取ろうとする 脳から理論を搾り取る 彼らを真似したら 己を高めてくれると君は信じる

鳥たちのさえずりは いつ聞くのか?

原作
マノリス(エマニュエル・アリギザキス)Manolis (Emmanuel Aligizakis)、クレタ島(1947)
原題
Wrong Path
詩人マノリスはギリシャ語版「今週の詩」の翻訳者です
出典
Nostos and Algos』、Ekstasis Editions
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

君に詠む

マリア・ミラーリアへ

薄暗い夕方に 疲れ果てた鳥が虚しく 眠る場所を探している時に 君に愛の詩を詠もう

月の灯火が 夜に微光を捧げる時 君に愛の詩を詠もう

太陽が夜明けの希望を 赤色に染める時 君に愛の詩を詠もう

心が皺寄り顔でも 優しい風が撫でる時 君に愛の詩を詠もう

上空の高い高い所で 二つの雲が 愛のキスで抱擁する時 君に愛の詩を詠もう

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
I Will Write for You
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

トマス・ノルデンThomas Nolden

来るな、死神よ、まだ来るな 望む地へ辿り着く為 長い梯子を登らなくてはならない まだ法の真理に辿り着いていない せねば、せねば、ここで成すべき事がある。

借りがあるから返さなければいけない 影の様に通り過ぎるより何かの為にここにいる 私の中から現れようとしている光がある まだ来るな、時間を与えよ、私に

原作
コンチャ メンデスConcha Méndez、マドリッド–メキシコシティ(1898–1986)
原題
No vengas, Muerte, todavía
出典
『Entre el soñar y el vivir (Cuadernos de Poesía)』、1981
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ヴェルナー・ベルゲスWerner Berges

自己を追究する

喜びの中 自己を追究する

すぐに 終わりを迎える

憂鬱は 遅々と 薄れていく

自己を追究する 言葉の中に 自己を見出す

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Du suchst dich
出典
『Ich höre das Herz des Oleanders: Gedichte 1977-1979』、Fischer Verlag
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

プラハ腕時計の寓話

アルトゥーロ・コルクエラ氏を悼んで

時間は数字で飾られ進む         〜ルイス・デ・ゴンゴラ〜

尖ったくちばしの鳥、その時計の分針 まるでハチドリ 白磁の平面を回転、壁に囚われている 二針目が後を追う、むしられた雛鳥のよう 共に、ローマ数字を羽織り、時間を指し示す。 人間の心臓のように、 生涯は過ぎ脈拍は低下すると 告げている。

原作
アルトゥーロ・コルクエラArturo Corcuera、ペルー(1935–2017.08.20)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

フランダースの“フラメンコ”へ敬意を込め、世界的に有名なスペインのフラメンコギタリスト、セラニートがこの詩「インディアンジプシーウーマン」に触発され曲を書きました。2017年スペインアルテアのイタカでの詩的な夜のコンサートで詩と音楽が朗読、演奏されています。
ジャン リュック・ロペスJean-Luc Lopez

インディアンジプシーウーマン

無音の 彼女の細いシルエットは 床に触れない

浮かび アンクレットだけが 優雅な歩みに反して鳴る

(目を閉じる)

彼女がスペインのジプシー酒場にあらわれて 純白のソレアを ギターのブラシ演奏で情熱的に踊る

情熱、誘惑と色彩が渦巻き 眼も心も盲目に

裸足のダンスに 木のフロアさえ願望で震える

彼女の足踏み、スキップ、漂い 深紅のドレスを左へ振り、また右へ ちらほら一見を露にする

—それだけ—

夢でさえも見せない

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
The Indian Gypsy Woman
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

私に詠んで

月が御手伝いさんを呼んで 暗黒の円蓋に 輝く真珠を留めるとき 私に愛の詩を詠んで

風が優しく 樹々の樹上を揺さぶり ロマンチックな小夜曲を奏でるとき 私に愛の詩を詠んで

波が曙光の中 喜びあふれる子供達のように 追いかけっこをするとき 私に愛の言葉を詠んで

伝達鳥のように 窓辺にやってきて 歌を歌い あなたについて話してくれる ひよことスズメたちに 世界で最も美しい愛の韻をささやいて

朝霧が どこまでも続く草原の まだ眠そうな花々を 軽く優しく目覚めさせるとき 私に世界で一番甘い愛の言葉を集めて

地平線の太陽が 果てしない抱擁で 海にキスをするとき それからまた愛の言葉を私に詠んで

原作
マリア・ミラーリアMaria Miraglia、イタリア
原題
Scrivi per me
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

読者の皆様、先週よりクルド人詩人のフセインハバッシュが今週の詩をクルド語に翻訳しクルドの雑誌に発表を始めました。これで今週の詩は13の言語に翻訳をされます。紹介として彼の詩を今週の詩として選び翻訳しました。
イナヤト・アタールعنايت عطار

最後の願い

無風 何度も何度も懇願してきた そしていつも怒り狂う顔を 見てきた

これが最後だ 私の手を取り 国境まで 運んでほしいと 懇願する しかし国境警備隊へ 引き渡さないでほしい 我らのオリーブの樹々の間の ハンモックのところへ 寝かせてほしい なだめ 口笛の 子守唄を。

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

イタカ
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

イタカ

ジャーメイン・ドルーゲンブロート氏へ捧げる

他銀河より 降りかかる 人工的な イタカの太陽

光で 囲まれた 白い円形のよう

夜に ゴーストたちの ひとつが魂を 浪費したよう

神が、 無意識に、 夜明けで作った 楽園

原作
イネス・ブランコInés Blanko、ボゴタ、クルンビア
原題
Ithaca
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
イタカ:ギリシア神話によると、イタカはギリシャのヒーローオデュッセウスの王国であり、またギリシャの島の名前です。 今年ノーベル文学賞にノミネートされた詩人ジャーメイン・ドルーゲンブロート氏が毎年恒例の詩的な夜のコンサートを企画し開催している自宅につけた名前でもあります。

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

今は

ピーター・ヘルトリング氏を悼んで

今は、私の物語に 文章はもう 舞い降りない。 今は話し、今は 自ら呼吸する、 今は、私から 消え去る世界に、今は 私は存在する、 己を忘れ、 今は青ざめる かつての文章 今は、捨てられる名前 そしてもう 今は存在しない

原作
ピーター・ヘルトリングPeter Härtling、ドイツ(1933–2017.07.10)
原題
Jetzt
出典
Das Land, das ich erdachte : Gedichte 1990–1993』、Radius Verlag
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

君の笑顔は 庭全体を輝かせるなんて もちろん大げさだけど 本当に見たんだ 君が近づき 一つ花が咲いたのを

原作
ウィリアム・マーWilliam Marr、台湾(1938)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

オットー・ミューラーOtto Mueller

素肌を目覚めさせ 繰り返し満たすその接触で 生き返らせるその言葉を 君は気にいるでしょう

瞳に瞳を感じられること 腕に腕を感じられること 灰色のアスファルトの道を 昼の疲れた光の中歩くこと

それぞれの夜明けに戻り 記憶の差の間の失われた瞬間を見つける それらの旅行の繰返しを気にいるでしょう

それぞれの瞬間の呼吸を感じさせ 呼吸するその空間に入らせるその言葉を 君は気にいるでしょう

原作
テレサ・パスカルTeresa Pasqual、スペイン
出典
Les Hores
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

夜に書く

昼のうちに 心に落ちた詩を 夕刻に書く。 道を歩く 人々の詩。 船乗りと 売春婦の詩。 正午の広場での 犬の詩。 生きることの 石、パン、団結の しがらみが 夜に重くのしかかる。 そして、 労働者の手に書く そして恋人たちの 瞳について書く。 そして、夕刻に、太陽の下に 雨の日に書く。 そして、書く。

原作
ジョゼ・エドゥアルド・デグレージアJosé Eduardo Degrazia、ブラジル
原題
Eu escrevo na noite
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

浪費もしくは小さな偽り

細かく引き裂かれあまりに無駄な 塩で焦がした数え切れない日々、 その直後の永久的な写真、 もし遅すぎなければ、 私の体内の状態を推測できた 私の身体の刺青は異国の地の太陽の様に輝く。 浴室の死んだ幾つもの星 海の底の棘を探しに行き あなたを許してあげられた。 無限を断ち切り、壁に貼付け、 待ち、惑星たちがぶつかり合う事を願えた。

そしてなんでもない事で壊れた この些細な事にどれだけ犠牲を払ったのか あなたへ電話して伝えられた。

原作
ローラ・ヤサンLaura Yasan、アルゼンチン(1960)
原題
Gastos inútiles o mínimas estafas
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

心の火
Wernin

心のカメラ

かつてなく、わたしたち自身の写真を撮る。

お互いに肩組をして いつも笑顔で 絶えず幸せの様子

永遠に続くのかもしれないと 見事な姿勢で自身を写し込む。

でもその写真に 心を埋め込めたら どうなるだろう?

原作
イオン・ディアコネスクIon Deaconescu、ルーマニア(1947)
出典
Ferestre Zidite』、Editura Cluj-Napoca2015
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

友人、また読者の皆様、
イタリアから戻りました。私のお気に入りのコモ湖で新しい幾つかの詩を書きあげ、最新詩集『一年草の花時間』を立ち上げました。新しい詩の一つをお届けいたします。どうぞお楽しみください。詩的な挨拶とともに
ジャーメイン
イタカの夜明け
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

我家へ

リリアンへ

手が どれほど寂しいか 心が どれほど思慕しているか 不意に気づく時

意識的だったのかどうか  置き去りにした 場所や時間に どう帰ろう

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Homewards
ポグナナ、コモ湖、イタリア、2016年5月29日
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

待ち焦がれる

君の眠りの 夢の戸口で 窓に映るような明けの明星が 君の顔に現れるのを静かに見つめて待つ。 海辺で 東に眼を凝らし 恍惚状態で不寝の番の時間を過ごし、 明け方の光に 浸かるのを楽しみにしている 瞑想する修行者のように。

私の眼で 少し開いた君の唇に花が開く 君の最初の笑顔を飲むんだ まるで花の蕾、 それが私の願い。

原作
ラビンドラナート・タゴールরবীন্দ্রনাথ ঠাকুর、India(1861–1941)
原題
Awaiting
出典
Later Poems of Tagore』、Orient Paperbacks1978
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

サン・ラザール駅
クロード・モネClaude Monet

恩寵の時

問題はこのように解決されると思っていた。 真夜中に来ないであろう最終バスを 駅で待つ人々の集団のように 最初の数人から、どんどん増える。 お互いに仲良くなり 共に全てを変えられ 新しい世界を始められる機会だった。

しかし散りじりに。 (恩寵の時は過ぎた。もう再び 起こらない。)それぞれが己の道を行く。 おのおのはまた 片面を上にしたドミノになり 繰り返し続くゲームで 合致するもう1片を探す

原作
イェフダ・アミチャイיהודה עמיחי、イスラエル(1924–2000)
原題
The Hour of Grace
出典
Selected Poems』、Penguin Books Ltd1988
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

彫刻
マリー ポール デヴィル シャブロルMarie-Paule Deville-Chabrolle

ことば

その時その時に 愛は特有の ことばを持つ 例えば、私の肩に寄り添う あなたのこめかみの柔らかい軽さや あなたのドレスが滑り落ちる その速さ

原作
ホセ ルイス リコJosé Luis Rico、スペイン(1950)
原題
Lenguaje
出典
Un niño con un reloj a cuestas』、Editorial Eléctrico Romance2017
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ある歌

行かないで欲しいかのように 私の足元に降着するまで 川や人々の流れを越え いくつもの寺や城を通り過ぎ 民主制のように飛ぶための 羽を欲しがる私の思想を ついばむ鳥達に 何を言いましょう

原作
ハット・フィッシャーHatto Fischer、ドイツ(1945–2017)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

でも私にはわかる

かつて蝶であったのかな

産まれる前 木であったか          星であったか

もう忘れてしまった

でもわかることは かつてそうであったように   未来にも私は存在する

永遠の中の 瞬きの一瞬に

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Aber ich weiß
詩人の誕生日記念の詩
出典
『Mein Atem heißt jetzt』、Fischer Verlag、フランクフルト・アム・マイン
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

詩心

詩心は 家に窓があるように 自然的

窓硝子のように 人工的

窓の向こう側の世界のように 偶発的

科学のように 論理的

知識獲得と 喪失の 接点にあるようだ

原作
ヴィアチェスラフ・クプリヤノブ/ ロシアВячеслав Куприянов、ロシア
原題
Poetry
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

回想

何時でも舞い戻り私を抱きしめて 身体の記憶が目覚め 昔の憧れで再び血が騒ぎ始める時 唇と肌が思い出し この手でまるで触れているかのように感じる時 愛おしい感覚が戻り私を包み込む

唇と肌が思い出したら、 夜に、何時でも舞い戻り私を抱きしめて

原作
コンスタンディノス・カヴァフィスΚωνσταντίνος Π. Καβάφης(1863–1933)
原題
Επέστρεφε
出典
C. P. Cavafy Collected Poems Revised Editon』、Princeton University Press1992
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

絵画(一部)
クリスティーナ・マイヤブラントChristina Mayrbrandt

至上の美しさ

貴方が守ってくれる魔法の場所へ のがれる 愛する人よ

草たちも お辞儀する 生きている森で

それは この上なく美しいもの

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Das Schönste
出典
Ich höre das Herz des Oleanders, Gedichte 1977–1979』、Fischer Verlag
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

詩的な目覚め

星を見つめていた 夜が明けるまで 朝の曙色で、夜の虹彩が閉じた

今見た夢は ただの夢でなく

バラの葉脈の 脈相は

未来を物語る

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Poëtisch Ontwaken
出典
The Ephemeral Flower of TimeDe efemere bloem van de tijd』、POINT Editions2017
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

絵画
ヒゴルカ ゴメス カラスコHigorca Gómez Carrasco

渇仰の詩歌

私は砂漠の砂 渇いた砂漠 君の唇はオアシス 私の飲めない所にある

唇:オアシスは受け入れる 砂漠のすべての砂を

枯渇した世界の 真ん中の湿ったところ 君の身体、君の身体は もう二度と二人のものとならない

身体:渇きと太陽で枯渇した私を潤した 井戸は閉じた

原作
ミゲル・エルナンデスMiguel Hernández(1910–1942)
原題
Casida del sediento
出典
Cancionero y romancero de ausencias』、1942
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
※ 英語タイトルは「Casida of the Thirsty」。カシダはアラブ文化の詩歌の形式。この詩は1941年5月にヘルナンデスがオカーニャの牢獄で書いたの最後の詩です。フランコ体制下の独裁時代のアリカンテ刑務所で肺炎にて亡くなりました。

絵画
ヤコブ ボタJacob Bouttats
フランダル
1660–1718

創造まえに

ああ、アダムなれたら 肋骨1がそろい 憧れの女性が まだ創造されず 林檎2の味を まだ知らず 蛇3のささきやを まだ聞かず 裸の羞恥を 気も付かず 名付けてもらう ことを待ってる 優しい創造物たちと 楽園で

原作
スタンリー H.バーカンStanley H. Barkan、アメリカ
原題
As Yet Unborn
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
1. 肋骨:旧約聖書で神がアダムの肋骨からイブを作る
2. 林檎:知識の実
3. 蛇:イブに林檎の実を食べるよう勧めた罪

絵画(ギャラリーシリアアート、ニース)
ラビー キーワンRabee Kiwan
シリア
1984

したたる

その人は朝に泣き 昼に泣き 夕方に泣いた 朝、息子を失い 昼、もう一人の息子を失い 夕方、最後の家族を失った 翌朝、人々はその人のために泣き 昼にその人々のために別の人々が泣き 夜には泣き声は聞こえなくなった 街中が血の海だった

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

挿絵
アウグスト・マッケAugust Macke
1887–1914

悪習

毎日 仕事へ行く 妻、オルガのため オルガが買物するに足る金を持てるよう

どうにかしないといけない 週末が近い 日曜日、子供達は食べたいだろう 私たちはこの悪習を 打ち破れずにいる


あの夜に……

ねえ、 あなたはこれまでになかった と言う あの夜以上に幸福であったことはないと 決して! 私にそう言った その瞬間に 伝えないと決めたの 自分自身を欺いたのか けれどたぶん 確かに想う あの夜は わたしの人生で最も美しい夜

原作
イデア・ヴィラリーニョIdea Vilariño、ウルグアイ(1920–2009)
原題
Sabés
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

コンスタンスの絵

コンスタンスは筆をとった

果物や野菜が表紙の スケッチブック

さくらんぼを緑色に 塗りつけ バナナは青色に

レタスにおいては黄金色で まるで天国を探しているような筆使い

そして私は想う あまりに現実的でやつれ果ててしまっている 大人たちを

原作
アストリット フュゲリ ガゼンAstrid Fugellie Gezan、チリ
原題
La pintura
出典
Las Jornadas del silencio』、Editorial Nascimento1984
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

守護者に なれる ように あなたの喜びを 預けてください

祈りが 聞こえる 惑星を 周回し 星屑に しています

風の中 散りじりの マントラが 共鳴する時 黄金の穂が 落ちて

そして喜びが 舞い戻る

パンの 香りに

原作
パオラ ペンナッキPaola Pennecchi、イタリア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

愛しい文字列

バレンタインデーの日に

満たされた 記憶の中の 目には見えないページ

暗号化され 他の誰も 解読できない

いく度もいく度も 書きなおされた

こころの中の 粘土板

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Tender Characters
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

切望

熱い それは恋

愛へ向け ひた走る

とはいえすべての航行が 抱擁が 待っている 桟橋にはたどりつかない

毎晩 難破船があり

毎朝 浜へ 集められる

沈んだ船体と あふれる 想いが

原作
アルフレッド ペレ アレンカートAlfredo Perez Alencart、ペルー
原題
Deseos
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

サンタ・マリア・ナヴァッレゼ、サルデーニャ
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

湖と岩

ひとりぼっち 澱んだ湖は みるみるうちに縮む

きみは岩 鈍い響きをたてる

でもきみは愛しいひと 溺れさせることを 抑えられない

原作
パショナリア ストイチェスクPassionaria Stoicescu、ルーマニア
原題
Lacul şi piatra
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

渇望

ある時には 至極やさしい ひとことが 欲しい たったひとこと 寒さに耐え 恐怖に耐えられる ひとことが 私を暖め 息苦しさから開放する 重さのないひとこと 平和のひとつぶだけ 背負おう 瞬く間に 飛び去ってしまわないように

原作
ピーター シュウトPeter Schütt、ドイツ(1939)
原題
Hunger
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ルビーを見つけた 折り重なった石の中で 珍しく光り輝いていた 単なる小石ですよ と、専門家は言う 単なる小石でも 何か特別なものになりたい 原子の唯一の塊 産業の堆積物 何万もの波の数が仕上げた「磨かれた技」   選ばれたと     見て、感じて   何か特別なものになりたい


未来

未来に何が 待ち受けているのか

さらなる戦争 毒ある野望を持つ国々の さりげない会話 哀れな政治家たちよ どこからどこへ向かうというのか 答えはない 一瞬で 高く登ったキノコ雲は 全てを燃え尽くす

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Zukunft
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

微光

ひとみの中の きらめく月光

優しくなでる風 ある時はひとこと

手でつつみこむ 抱擁のような

やさしい光 私の心にたいせつなもの

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

地球上を歩く

地球上を歩く たった一人で 黒い杖を振り上げ 硬い、冷たい地表に 強く押しつける 地球の裏側の人々は このわずかな音を聞きとり 私の存在を感じるかもしれない

原作
チ・チェンChi Chen、中国 台湾(1913)
出典
台湾現代詩『チャイナチャイナ』ISBN90-71152-10-3
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

松の木は孤独に立つ

松の木は孤独に立つ 北の切り立った丘に 安らかに目を閉じ 氷や雪の白い毛布で 覆われている 松の木は椰子の木を夢見る それは東の遥か遠くにある 孤独でつらく声にならない唸り この今も燃えている崖

原作
ハインリヒ・ハイネHeinrich Heine(1797–1856)
原題
Ein Fichtenbaum steht einsam
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ポグナナ・コモ湖
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

日曜の休息

ツイッターなし フェイスブックなし メールなし メッセージなし

極めて賢いスマートフォンより 賢明なのは

沈黙

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Sunday Rest
ポグナナ・コモ湖 イタリア、2015年6月7日
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

冬の庭

あなたから送られてきた手紙 黄色と赤の切手が貼ってあり 心の鉢に 植えました 毎日 水をあげたら あなたの手紙は 私の中で育ち 美しくて 悲しい手紙 あなたの匂いがする 手紙 もっと早くに するべきでした 遅すぎる 今ではなくて

原作
エリック・フリードErich Fried、オースロリア(1921–1988)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

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