言葉を失う
海辺で 言葉を失う 歌を歌うため 言葉を失う
内陸に戻り 真実を見失う 言葉を失う そして歌人は歌う
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海辺で 言葉を失う 歌を歌うため 言葉を失う
内陸に戻り 真実を見失う 言葉を失う そして歌人は歌う
窓の向こう側の オレンジ樹々の庭
蕾の香りに うっとりと酔う
誰もいない 車もない 雲ひとつない天国
黒ツグミだけが 完璧な静けさを 賛嘆している
夜明けの光が 夜の痕跡を消す 容赦なく、時は流れるが 止まってほしいと願う カメラレンズに固定される写真の様に 樹々の実のように価値があるのは愛だから
夜に昇る月のように 愛おしい、君がいて、何が起ころうとも どこにいようとも、心に君を留め 君と恋に落ちてから、この世界は変わり 二つの心が温かく優しい家を見つけたから 希望の明かりを灯したり、影らしたり 日光が愛の心の琴線をもて遊ぶ
どう伝えよう?耐え難く近すぎて、 心に押し入ってくる 君は無言の口が担う名前 地球の手の中の海 触れてみる、触れている私の手を羨ましく思う 触れていて、触れたいと焦がれている
この無感情の時の恐れは一過性でなく 君は私の中の一部、一部は私の中のここにある その一部が魂の炎を燃やし 心の火を消すことがない
幼い頃から、空を訪れてみたかった 詩によって 飛行機によって 夢によって 辿りついた
死んだ時には青い世界へ移り住む 創造主と 永遠の邸宅をすでに手配している
到着が待ちきれない 人類全ての人々を知り、私の欲求をも知る神は 私の人間性をつねるような 虫けらであふれたこの地球上で 永遠には踊らせない
春には 失われた庭からバイオレットを 売る 夏には 折り紙の薔薇を 秋には 紫苑の花言葉を 冬には 窓に咲いた 亡き母の霜の花を だから私は生きる 朝から 晩まで 夜には 月や星を 私は褒める 太陽が昇って 私をその日に 売るまで
光に押されたら 別のドアを通ろう 薔薇の花びらに 朝に露が煌めく 海の泡
静かな夜に最初の音節のように 話そう 影についてや青い天使について
私の人生 光り輝き、ある瞬間に 白頭蓋骨 黄昏 池の小魚
黄金時代収穫の 水の中、芳香の中 甘いワインの中に泳ぐ
自身に課題を科す 言葉が足りなすぎる 綺麗に拭き取られた 黒板の 消されて出てきた チョークの粉と同じ
何かまだ残っている 喉の奥の骨の様に 引っかかっている
学校の黒板には 年配の校長が 難解な文章を書いている ”我が人生”
より時間が短く 授業終了の鐘が鳴るまで より減っていく単語 指の中で すり減るチョーク
君の体はハープだ サウンドボードに沿った弦 共鳴機 指で弾く ネック フラット シャープ 三角形の形 狩猟弓 トルバドゥール トルヴェール ミンネザング モンテヴェルディ グルック ベルリオーズ 特徴的なグリッサンド 共鳴を止めるのに 軽く片手を もしくは両手を 弦に置く
私は群れの牧人 群れは私の思想で、 私の思想はすべての感覚を司る 目で耳で 手と足で 鼻で口で考える
花を思うことは見て香ること 身を食べることは味を感じること
だから、楽しみが過ぎて悲しい 暑い日には 芝生の上で伸びをして 太陽が私の瞼を温めるのを感じ 全身が現実に沈むことを感じ 真の幸せを知る