2017年4月の詩

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回想

何時でも舞い戻り私を抱きしめて 身体の記憶が目覚め 昔の憧れで再び血が騒ぎ始める時 唇と肌が思い出し この手でまるで触れているかのように感じる時 愛おしい感覚が戻り私を包み込む

唇と肌が思い出したら、 夜に、何時でも舞い戻り私を抱きしめて

原作
コンスタンディノス・カヴァフィスΚωνσταντίνος Π. Καβάφης(1863–1933)
原題
Επέστρεφε
出典
C. P. Cavafy Collected Poems Revised Editon』、Princeton University Press1992
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

絵画(一部)
クリスティーナ・マイヤブラントChristina Mayrbrandt

至上の美しさ

貴方が守ってくれる魔法の場所へ のがれる 愛する人よ

草たちも お辞儀する 生きている森で

それは この上なく美しいもの

原作
ローゼ・アウスレンダーRose Ausländer(1901–1988)
原題
Das Schönste
出典
Ich höre das Herz des Oleanders, Gedichte 1977–1979』、Fischer Verlag
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

詩的な目覚め

星を見つめていた 夜が明けるまで 朝の曙色で、夜の虹彩が閉じた

今見た夢は ただの夢でなく

バラの葉脈の 脈相は

未来を物語る

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Poëtisch Ontwaken
出典
The Ephemeral Flower of TimeDe efemere bloem van de tijd』、POINT Editions2017
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

絵画
ヒゴルカ ゴメス カラスコHigorca Gómez Carrasco

渇仰の詩歌

私は砂漠の砂 渇いた砂漠 君の唇はオアシス 私の飲めない所にある

唇:オアシスは受け入れる 砂漠のすべての砂を

枯渇した世界の 真ん中の湿ったところ 君の身体、君の身体は もう二度と二人のものとならない

身体:渇きと太陽で枯渇した私を潤した 井戸は閉じた

原作
ミゲル・エルナンデスMiguel Hernández(1910–1942)
原題
Casida del sediento
出典
Cancionero y romancero de ausencias』、1942
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
※ 英語タイトルは「Casida of the Thirsty」。カシダはアラブ文化の詩歌の形式。この詩は1941年5月にヘルナンデスがオカーニャの牢獄で書いたの最後の詩です。フランコ体制下の独裁時代のアリカンテ刑務所で肺炎にて亡くなりました。
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