2018年の詩

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エルク・レダーElke Rehder

クリスマス

空が空洞だから 何千もの電気星と 誘惑する行商人で 地球が満たされた

司教は伝道をする 天使の歌の代わりにCDを流し 東方の三賢人の代わりに 王族のギフトを贈る

しかし子供は生まれ 救世主メシアは存在しないが その人は 天国が空洞でないと望む

原作
ゲオルク・シュヴィーカートGeorg Schwikart、ドイツ(1964)
原題
Weihnachten
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

月の詩

とても疲れていて、変だ 暗い部屋の君の顔みたいな、 月が夜空に掛かる 月は輝く、白く、硬く、磨かれて まるで一片の金属のよう 早めの青い午後に 時々同様に青ざめ弱い 単色で 子供が塗ったような しかし優しさに溢れている

原作
ギュンター・クーネルトGünter Kunert、ドイツ(1933)
原題
Das Gedicht vom Mond
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

聖歌1

神の祝福を受けたその人は 政治政党のスローガンに従わない 会にも参加しないし ギャングと同席しないし まして大将の作戦会議に同席しない。 その人は兄弟をスパイしないし 友を裏切らない。 その人は宣伝の広告を読まない ましてテレビは見ない その人は泉近くに植えられた 木のようだ。

原作
アーネスト・カドニアルErnesto Cardenal、ニカラグア(1925)
原題
Salmo 1
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グラサ・マルケスGraça Marques

新しい日

冷たい日の淵に 顔をうずめる 息は何も温めない 幸せの島の淵 足元のすぐ下 流れる一粒の涙が 時間を肥やす

原作
マウゴジャータ・ズレカMałgorzata Żurecka、ポーランド
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グラサ・マルケスGraça Marques

壊れた

すべての鏡 裏側さえも形を留めない 継がれない名前 消えていく足跡 あなたの 私は 私の あなたは 目に見えない小道 私たちを救う

原作
ラファエル・カルセレンRafael Carcelén、スペイン(1961)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ドリッド・ワイズマンדורית ויסמן
イスラエル
1950

私の人形

子供の時、近所のアリヤ地区で 手も目も失った 人形を持っていた

誰のものか確かでなく その人形が私のものだったのか 詩から来ているのか

ママが死んで 誰にも尋ねられない

原作
ドリッド・ワイズマンדורית ויסמן、イスラエル(1950)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アメデオ・モディリアーニAmadeo Modigliani
1884–1920

愛するなら、私の全てを

愛するなら、私の全てを 光や影の一部でなく 愛するなら、黒も白も  灰色も緑も 金も茶色も 愛して 毎日愛して 毎夜愛して 朝には大きく開いた窓のそばで

愛するなら、そのままの私を愛して。 全てを愛するか…全く愛さないか。

原作
ドゥルセ・マリーア・ロイナスDulce María Loynaz、キューバ(1902–1997)
原題
Si me quieres, quiéreme entera
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

残るのは遺産としての名前だけ

これは海岸から海岸への 昨日から一寸前の 足跡を残さない 旅だ。

水しぶきと砕ける波に委ねるか、 丸い石に刻まれるか? 飛んでいる鳥に委ねるか、 松の木に刻まれるか?

残るのは、 存在しないところに記録された 旅人の名。

原作
マハヤ・モハマド・ヤシンMahaya Mohd. Yassin、マレーシア
原題
Yang Ada hanya Sebuah Nama sebagai Pusaka
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

月夜に離れた君を想う

海上に明月が生まれ、 天空を輝かせる。 恋人は離れた夜を嫌うが、 夕が相思相愛を呼び戻した。

蝋燭を吹き消し、 月の光を楽しむ。 露が濃くなり、 上着を羽織った。

手に溢れる月の光を 君に贈れないから、 夢で君に会いたいから、 眠りに帰ろう。

原作
ちょう九齢きゅうれい九龄、中国(673–740、唐時代)
原題
望月怀远
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

グスタフ・クリムトGustave Klimt

森に捧げる

感謝します森よ、私に眼を返してくれること あなたの芝生に横たわり、 眼をとじるときにも。

私に手がある理由をくれること 足が土につまづいて あなたの根を掴むため。

漆黒の樹皮の空の向こうに 小さな月のようにあわられる 忘れていた私の魂を 見詰めている 目しか見えないものからの、 知らない音からの、 夜に歩く怖さを 克服することを教えてくれた。

原作
ピエトロ・ベラPietro Berra、イタリアのコモ
原題
Ode al bosco
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

イタリアのコモ湖ポグナナ、2018年5月7日
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

天像

穹窿きゅうりゅうの蒼い空に雲を描く 白上に白 流れゆく像

何かの兆候か、 もしくは 唯の目の保養

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Hemelbeeld
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

歌ってください真実の愛の歌を

石は長く留まる 静けさと沈黙で横たわり 道の端を 見ることもない

無音 無の場 無言 望まれず 石は残る 語り手もなくその物語は続く

愛もなく 真実もなく ある国から誰かが書いた

もし応えがたったひとつしかなければ お願いです 歌ってください、国のためではなく 愛の歌を

原作
ハット・フィッシャーHatto Fischer、ドイツ(1945–2017)
原題
Singe mir das Lied von der wahren Liebe
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

待っている

干ばつのように、雨を          餓えた人のように、一片の食物を   溺れた人のように、救助を      死にゆく人のように、生れ変わりを⋯ 私は君を待つ

原作
H. S. シバプラカシュH. S. Shivaprakash、インド
原題
Waiting
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

海上の雲

海上には雲 海辺には銀製の船   海中には黄色の魚   海底には青藻     

海岸近くに 考え 静止している 裸の男

雲になるか それとも船? 魚になるか それとも海藻?

否、少年よ: 雲と、船と、魚と海藻をもつ 海となれ

原作
ナーズム・ヒクメットNâzım Hikmet、トルコ(1902–1963)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

彫刻
マリーポール・デビル・シャルボルMarie Paule Deville Chabrolle

光を与える人

あなたが私を見るとき 私の眼は鍵になる 壁は秘密をもち 恐れは言葉に、詩になる。  あなただけが私の記憶を作る 心奪う旅行者、 絶えない炎

原作
アレハンドラ・ピサルニクAlejandra Pizarnik、アルゼンチン(1936–1972)
原題
Quien alumbra
出典
La voz del otro lado – De stem aan de andere kant / Poesía moderna de Argentina』、Point Edition2010
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:デザイン・パオラ・リオスDiseño Paola Ríos

一掃まで炎の翼で

欲しいのはどこでも歌えること 欲しいのは羽のゆりかご 欲しいのは足の間に天国のかけら 欲しいのは口の中に蜂の群 欲しいのは体に地球とジャスミンの香り 欲しいのは足先からたち昇る燻製の舌 欲しいのは広げた羽の付いた肘 欲しいのはひばりの羽と肘を取替えること 夜明けに

原作
カルロ・カストロKaro Castro、チリ(1982)
原題
Con alas de fuego hasta el exterminio
出典
La mujer gallina』、Ediciones Balmaceda2016
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

ひと飛び、すべての方向が変わった 雨の(生きている!)鉄の道は 私たちを夜明けに導き あなたの夢を見た 地球全体は不眠に陥り 数世代の木がたわみ 空では雲が混み合い 夜に野生のインスピレーションが包み、私たちは恋に落ちた

原作
アレクサンドル・コロトコOlexandre Korotko、ウクライナ(1952)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

スペインのロンダにある八本蛇口の手水舎

八本蛇口の手水舎

黄土壁に はめ込まれている八口 奇跡の様に 水が溢れている。 巡礼者は —敬虔に頭を下げ— 手を伸ばし 祈る。 「純粋で透明な水 乾き以上に 私を潤す」

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Fuente de los Ocho caños
出典
The Ephemeral Flower of TimeDe efemere bloem van de tijd』、POINT Editions2017
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのグータの空爆

果ては一からまた始められる

母を埋葬し 破裂弾のシャワーの下を墓地から走り戻った後 縒れた布の中の兄弟を兵士が連れて戻し 彼のライフルを兵士へ返した後 我が子の目の中に炎を見て ぞっとするネズミらと穴蔵へ飛び込んだ後 恐怖で誰かわからない老婆の顔を ぼろ切れで拭った後 街角で餓えた犬がどのように 自分の傷の血を舐めるかを見た後 これらすべての後に 余りに空っぽで面白くなくを忘れさせてくれる 記者のように詩を書きたい その瞬間道で誰かが尋ねる、 なぜ冷淡な記者のように詩を書く?

原作
ゴラン・シミックGoran Simic、ボスニアのサラエヴォ
原題
It can start all over after all
出典
World Poetry, Almanac 2010』、Hadaa Sendoo
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

愛情の姿、想の中、空からの雪の舞い時。 懐疑的な柔らかな目、自身を反射し 木々の間をはらはらと 舞い降りる —ほら、天国の崩壊!— そして男たちは木々になり 雪の抱擁を受け包み込まれる

原作
エリサベタ ヨシフElisabeta Iosif、ルーマニア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

昨夜は私の上で眠りに落ちた! そして今日は寝返りを打ち 眠りについたふり。 復活の日まで共に。 あの言葉をまた聞きたい 眠っている君が私に言った昨夜の言葉!

原作
ジャラール・ウッディーン・ルーミجلال‌الدین محمد رومی(1207–1273)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジョージ イポリット ディリGeorges Hippolyte Dilly
1876–1942

海辺の瓶

瓶の中のメッセージ 未知へのポエム

未来の国へ 漂流するんだろう

海流の迷宮に 彷徨うかもしれない

海藻の森を横切り 深い納骨洞 何千もの港の幻 無数の星の下で 沈んだストーリーの数々 これを読む人はこの旅をするんだろう

原作
ジャクリーン・サンジャンJacqueline Saint-Jean、フランス
原題
Bouteille à la mer
出典
Dans le souffle du rivage』、Tertium éditions
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

アルゴト・スカウトArgot Scout

アンジェラ・フィゲラ・エイメリクへ

私たちは太陽の渦について何も知らない 最長の時間も、 雲々、上空の乱気流についても 香るこの地で 甘い樫と栗の木の漂う君の血の ことばの水晶だけが光っている。 君の瞳の中、 ツバメが巣を作るところへ 春の渡り 静かに決意する時 君の家で、紫の影の呼吸をする 無邪気なひかり そして君は書く、夜に、君の歌を 晒された角のよう

原作
アンジェラ・フィゲラ・エイメリクÁngela Figuera Aymerich、ポルトガル
原題
Para Ángela Figuera Aymerich*
※ アンジェラ・フィゲラ・エイメリク、スペインの詩人、1902–1984
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ホアン・カルロス・メストレJuan Carlos Mestre

トラと薔薇と

眠っている時に 青い月の下、 トラと薔薇が愛を交わすのが聞こえ ツグミのさえずりが聞こえ、 飛ぶ鳥の香りを感じる。 そしてトラが薔薇に 言うのが聞こえる 「あなたを七晩夢に見ないといけない 優しさと幻想の魔法が 消えないように、 触れてはいけない 私の夢が夜明けまで続くのかを 知る唯一の方法だから」

原作
フランシスコ・デ・アシスフェルナンデスFrancisco de Asís Fernández、ニカラグア(1945)
原題
El Tigre y la Rosa
出典
El tigre y la rosa』、Editorial Hispamer2017ニカラグア
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

フェルナンド・アギアルFernando Aguiar

文字よもう一度

今夜は どう書くべきかわからない これは心の新境地か?

今夜は 私がうんざりしているから 文字たちは頭痛持ち

今夜は 心に一つも考えが浮かばない 真っ白な紙 私は、待って、待って 思考の空から 文字が降りてきた そして私の魂の 亀裂を充した・・・

原作
アルリンド・ファリジArlind Farizi、マケドニア(1984)
原題
The Word Again
出典
Poem between two summers』、Struga Poetry Evenings
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのエフリン(2018)

赦免

高い樹の上に ある鳥は巣を作った その樹は神に どうか私の方向に嵐を呼ばないでくださいと 神に祈った

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
クルディスタンのエフリン(1970)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

シリアのエフリン(2018)

二本樹の愛

その二本の樹々はひどく愛し合っていた 妬みにもえた木こりが 二本の樹々を切り倒し 家へ持ち帰った 偶然に炉の中で再会でき 幸福に抱き合い 共に燃やされた

原作
フセインハバシュحسين حبش、クルディスタン(1948)
クルディスタンのエフリン(1970)
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ニカラグア・グラナダ国際詩際への三度目の招待を受け、バレンタインデーにニカラグアでも最も重要な現在詩人であろうクラリベル・アレグリアの愛の詩を選びました。私は彼女の詩をこよなく愛していて、彼女も私の詩に対して同様であったことに感謝しています。ニカラグアで今月会うはずだったのが、スペインの新聞により彼女の訃報を知りました。この二つの愛の詩は偉大な女性、詩人で詩の友人であった彼女へ送ります。
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

愛にまつわるすべてになりたい

恋人 愛される人 めまい そよ風 水の反射 そして今のところ私たちを覆っている 蒸気のような 漠然とした あの白い雲に

原作
クラリベル・アレグリアClaribel Alegría、ニカラグア(1924–2018)
原題
Quiero ser todo en el amor…
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

境界線

私は雲でした そして雨 そして海 そして月になりたかった そして壁 そしてあなた。

原作
クラリベル・アレグリアClaribel Alegría、ニカラグア(1924–2018)
原題
Fronteras
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

京都、2017
撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

樹が風に舞い上がる

ジャーメイン氏へ贈る

樹は風なしでは無だ 風が動きに印象を与えないとしたら 存在も確かではない その樹は 樹液で自身を支え 火が燃やし、 風が嵐の夜に破壊を駆り立てる木材で その幹、その根、その呼吸よりも イメージ、詩、写真、文書と 同じ瞬間にだけ存在する。

風に、 編み出す人の視線に、 樹はしなる。

その樹は風の中で、もしくは思想で動くとき 生まれ出る、

詩が私たちを感動させる時の様

原作
ジョゼ・エドゥアルド・デグレージアJosé Eduardo Degrazia、ブラジル
原題
A Árvore Se Faz No Vento
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

問い

地球よ、あなたはまだ 原始光の火花以上、

宇宙にさ迷う 殺がれた岩石以上の存在なのか?

黄金の子牛が 天使の翼をもがいた

そして—預言者の様に見せかけ— 支配者は真実の様に嘘を広げる

馴染みある羽ばたきが 微かに聞こえる 心の二重の鼓動

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Question
出典
Counterlight』、POINT Editions
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

白雪

雪が降るように 静かに来た そして朝に心は 真っ白になっていて なんと言ったらいいか

一番小さいスミレのように 私を覆った そしてアオガラの歌声に 地球の白い息の 開きを感じた

林檎の木のように 君の抱擁に揺れる

今夜の月はなんと穏やかな

原作
レナート・フィオリトRenato Fiorito、イタリア
原題
La Neve
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

水彩画
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

陰影

君の影は 修道院の壁に沿って 角のあたり渋々歩く 石から石へ 影跡からはずれようと 通りすぎる間 強く張り詰めている わたしの影のことを 締めつけている様

原作
クリステル・アンガーChristel Ungar、ルーマニア(1966)
原題
Beschattet
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

水彩画
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

聞いている

あなたが言うことより いつも多くを 聞いている

まるであなたは 千の舌を持ち話したいみたい それでも多くを 抑えている様だから

原作
クリステル・アンガーChristel Ungar、ルーマニア(1966)
原題
Zuhören
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

ダルフールの子供難民の絵・ヒューマンライトウォッチユニセフWaging Peaceスーダン

平和ゲーム

運動場の子供が 戦争ごっこ 甲高い大声で 戦争の真似事

窓から 彼らに声をかける 今回は平和ごっこをしなさい! 彼らの騒ぎが 少しは収まることを願って

運動場から子供たちが 熱狂的な様子で 「平和を祈ろう!」 それぞれが 大声で叫ぶ

そしてもう一度 考え議論して どうするべきかを 思慮している それから

小さい子供が 私の窓を覗いて 「叔父さん、平和を祈るってどうするの?」

原作
ピーター シュウトPeter Schütt、ドイツ(1939)
原題
Friedensspiele
日本語翻訳
リボアル菜巳乃

撮影:ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt

ヒマラヤの穏やかな朝

前夜に 喉の渇きを癒したように 現れる

朝の光と聞きなれない 鳥のさえずりで 一日が始まる

遠くの 蘆笛の 揺れる音

シバ神か、仏か その様な神を参る 朝の祈祷者

そしてこの朝穏やかさが訪れる まるで長い時間を経て 人類がついに 平和に辿り着いたかのように

原作
ジャーメイン・ドルーゲンブロートGermain Droogenbroodt
原題
Peaceful morning in the Himalayas
日本語翻訳
リボアル菜巳乃
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